中田敦彦さんのYouTube大学では、米国株投資について解説されていましたが、その内容に対して私が感じた違和感や補足情報についてお伝えします。中田さんの動画の流れをおさらいし、キャピタルゲインの誤解、景気サイクルとセクターの現状、そして特定の企業の株価の動向について詳しく解説していきます。
目次中田敦彦さんの米国株投資動画のおさらい
中田敦彦さんのYouTube大学では、米国株投資についての動画がアップされました。この動画では、まずお金の知識の重要性について語られ、手数料を節約し、複利の力を理解し、お金を働かせる方法として株式投資が紹介されました。そして、株式投資は長期的で安心できる方法であり、誰でもできるという観点から説明が進められました。
中田さんは、株式投資にはキャピタルゲインとインカムゲインの二つの利益があると説明し、キャピタルゲインはギャンブル的であり、長期投資には向かないと主張しました。しかし、この点については誤解があると感じたため、以下で詳しく解説します。
キャピタルゲインの誤解
中田さんはキャピタルゲインをギャンブル的で複利が働かないと説明しましたが、これは誤解です。まず、インカムゲイン(配当金)について説明します。配当金は企業が株主に渡す利益の一部であり、これを再投資することで複利効果が得られます。しかし、キャピタルゲインも同様に複利の恩恵を受けることができます。
例えば、無配当企業であるアマゾンのような企業は、利益を株主に還元するのではなく、研究開発や設備投資に再投資します。この再投資により企業の価値が上がり、結果として株価が上昇し、キャピタルゲインが得られるのです。つまり、キャピタルゲインも複利が働く仕組みであると言えます。
高配当株再投資の不都合な真実
高配当株再投資には一つの不都合な真実があります。それは、配当金には税金がかかることです。通常、配当金には20%から30%の税金がかかり、例えば100円の配当金があった場合、手元に残るのは80円です。このため、再投資する際に20%程度の損失が生じるため、非効率な投資方法になりがちです。
一方、キャピタルゲインの場合、株価が上昇することで得られる利益には税金がかからず、再投資の際にも損失が生じません。この点からも、高配当株再投資が必ずしも最適な方法であるとは言えないのです。
景気サイクルとセクターの現状
中田さんの動画では、景気サイクルに応じて強いセクターを選び分けて投資する方法が紹介されました。例えば、景気の後退局面ではエネルギー関連、不況期には生活必需品や通信、回復期にはハイテクやバイオ関連が強いとされました。
しかし、直近のコロナショックでは、この常識が通用しないことが明らかになりました。エネルギー関連はロックダウンの影響で大暴落し、一方でハイテクソフトウェアが強かったのです。このように、常識が通じない事態も起こり得るため、常に最新の情報を基に投資判断を行うことが重要です。
MicrosoftとAppleは値上がりしていないのか?
中田さんの動画では、AppleやMicrosoftといった有名企業は成長株ではなく、ここ数年は株価が横ばいでキャピタルゲインが得られないと説明されていました。しかし、過去10年間のデータを見ると、AppleとMicrosoftは米国市場全体に比べて非常に強い伸びを示しています。
Appleは10年間で12倍、Microsoftは7倍に成長し、一方で米国市場全体は2.2倍にしかなっていません。これらの企業はむしろ成長株のリーダー的な存在であり、キャピタルゲインが得られる投資先と言えます。
高配当株再投資としてのAppleとMicrosoft
また、動画ではAppleやMicrosoftが高配当株であるとされていましたが、実際の配当利回りはAppleが0.94%、Microsoftが1.84%と低く、これらの企業は高配当株再投資には向いていません。高配当株とされるには通常3.5%以上の利回りが必要とされるため、これらの企業は成長株と認識して投資するべきです。
「バカでも稼げる米国高配当投資」について
中田さんの動画で紹介された「バカでも稼げる米国高配当投資」の著者であるバフェット太郎氏は、ハイテク株投資を見下す切り口で賛同者やアンチが多く存在するブロガーです。この本は確かに米国高配当投資のリターンが高かった時期もありましたが、ここ数年はハイテク株の成長についていけず、市場平均を下回る運用結果になっていることも理解した上で読む必要があります。
中田敦彦さんの動画についての評価
中田さんの動画は、初心者向けにわかりやすく魅力を伝えるスタンスで作られており、必ずしもすべての情報が正確であるとは限りません。しかし、初心者にとっては投資の入り口として非常に有益であり、細かい点については自分でさらに調べることが重要です。中田さん自身もおそらく意図的に事実をねじ曲げているわけではなく、初心者にわかりやすくするために噛み砕いて説明していると考えられます。
米国株高配当投資について
米国株高配当投資は、誰でも再現性が高くインカムゲインを得られる方法であり、特に米国株は株主還元意識が強く増配傾向も強いです。このため、米国株高配当投資は魅力的な手法の一つとして実践する価値があります。しかし、重要なのは正しい知識を持ち、複数のソースから情報を収集して投資判断を行うことです。
関連する質問と回答
キャピタルゲインとインカムゲインの違いは何ですか?
キャピタルゲインは株価の上昇による利益であり、インカムゲインは配当金による利益です。キャピタルゲインは株価の値動きに依存し、インカムゲインは企業が配当を支払うことで得られます。
高配当株再投資のメリットとデメリットは?
メリットは安定した配当収入が得られる点、デメリットは税金がかかるため再投資の効率が悪い点です。再投資による複利効果を得るには、税金を考慮した上での運用が必要です。
景気サイクルに応じた投資方法は有効ですか?
景気サイクルに応じた投資方法は有効ですが、常に最新の情報を基に判断することが重要です。コロナショックのように予測できない事態が発生することもあるため、多角的な視点での投資が求められます。
AppleやMicrosoftは成長株ですか?
過去10年間のデータを見ると、AppleやMicrosoftは成長株として非常に強い伸びを示しています。これらの企業はキャピタルゲインを狙う投資先として有望です。
米国株高配当投資は初心者に向いていますか?
米国株高配当投資は初心者に向いていますが、正しい知識を持ち、複数の情報源から情報を収集することが重要です。高配当株再投資のメリットとデメリットを理解した上で投資を行うことが大切です。