積立ニーサ（NISA）は、長期にわたる資産形成を目指す投資家にとって非常に魅力的な制度です。しかし、投資信託の選び方や信託報酬手数料が資産運用にどのような影響を与えるかについては、理解が難しいと感じる方も多いでしょう。この記事では、積立ニーサにおける信託報酬手数料の重要性と、20年間で支払う手数料を人気8ファンドで比較してみました。また、投資信託を替えるときの注意点についても触れていきます。
目次信託報酬手数料と積立ニーサの関係
積立ニーサは、金融庁が国民の資産形成を支援するために設けた制度で、20年間非課税で投資信託を運用できます。この制度では、信託報酬手数料が非常に重要な要素となります。金融庁は、国内資産を対象とする投資信託の信託報酬手数料を0.5%以下、海外資産を対象とするものは0.75%以下と指定しています。この指定があることで、政府が高い手数料の投資信託は長期運用に向かないと暗に示していることがわかります。
信託報酬手数料の影響とその重要性
信託報酬手数料は、投資信託の資産運用において非常に重要なポイントです。手数料は資産の減少に直結するため、長期運用においては特にその低さが求められます。手数料は、相場が上がっているときだけでなく、下がっているときにもかかります。つまり、資産が増えた時だけでなく減った時にも手数料が差し引かれるため、手数料の低さは非常に重要です。
信託報酬手数料の低下競争
最近では、各証券会社が信託報酬手数料を引き下げています。これにより、ユーザーはより低い手数料で投資信託を利用できるようになりました。しかし、同じ指数に連動する投資信託でも微妙な手数料の差があるため、どれだけ気にするべきか悩むこともあります。実際に、手数料の差がどれくらいの影響を与えるのかを計算してみることにしました。
20年間で支払う信託報酬手数料の試算
今回、年40万円ずつ20年間運用し、年5%で資産が膨らむという条件で、積立件数上位8ファンドについて試算しました。手数料がなかった場合、20年後の資産額は1300.22万円となりました。しかし、実際には信託報酬手数料がかかるため、各ファンドの実際の資産額と累計手数料を計算しました。
試算結果の分析
今回の試算で、最も手数料が低かったのはeMAXIS Slim 米国株式で、累計手数料は20年間で13.5万円でした。一方、最も高かったのはひふみプラスで、累計手数料は141万円となりました。アクティブファンドは手数料が高くなりがちで、その差がリターンに大きな影響を与えることがわかりました。
米国株に連動する指数の比較
最近人気の米国株に連動する指数として、eMAXIS Slim 米国株式と楽天VTIを比較しました。信託報酬手数料の差は約0.07%で、累計手数料では約10万円の差がありました。この結果から、微妙な手数料の差が長期的には大きな影響を与えることがわかります。
信託報酬手数料の差とリターンの関係
年5%で20年運用した場合、信託報酬手数料が0.1%の差だとリターンの差が14万円、0.01%の差だと1.4万円の差が出ることがわかりました。この差を大きいと捉えるか小さいと捉えるかは人それぞれですが、長期の目で見ると大きな影響を与える可能性があります。
投資信託を替える際の注意点
積立ニーサでは、現在持っている投資信託を売却しても非課税枠は復活しません。そのため、よっぽど悪い投資信託でない限り、現在保有している投資信託はそのまま保有し続け、新たに購入する投資信託のみを変更することが賢明です。
投資の格言：買うべし売るべし休むべし
相場では、買いや売りだけでなく、時には取引を停止して休むことも重要です。特に市場が大きく変動している時期には、一旦冷静になり、無駄な取引を避けることが必要です。
関連する質問と回答
Q1: 積立ニーサのメリットは何ですか？
A1: 積立ニーサは、20年間非課税で投資信託を運用できるため、長期的な資産形成に非常に有利です。また、少額から始められるため、投資初心者にも適しています。
Q2: 信託報酬手数料が高いとどうなりますか？
A2: 信託報酬手数料が高いと、長期的に見て資産の減少に直結します。手数料が高い分、リターンが少なくなるため、長期運用には向かないことが多いです。
Q3: インデックスファンドとアクティブファンドの違いは何ですか？
A3: インデックスファンドは市場全体の動きを追随するのに対し、アクティブファンドはファンドマネージャーが積極的に銘柄選定を行います。そのため、アクティブファンドは手数料が高くなる傾向にあります。
Q4: 積立ニーサで投資信託を替える際のポイントは？
A4: 現在保有している投資信託はそのまま保有し、新たに購入する投資信託のみを変更することです。これにより、非課税枠を無駄にすることなく、より有利な信託報酬手数料で運用を続けることができます。
Q5: 長期的な資産運用における重要なポイントは何ですか？
A5: 長期的な資産運用では、信託報酬手数料の低さが非常に重要です。また、市場の変動に対して冷静に対応することや、定期的に運用状況を見直すことも大切です。
